松浦純菜の静かな世界 浦賀和宏

3月2日読了
★★★★★
久しぶりにカニバリズムじゃない物語が出ました。とはいえ、浦賀和宏なので、バラバラ殺人は当たり前のように発生しています。続編を感じさせるエンディングだったので、おそらくシリーズものになるのではないでしょうか。
安藤君が主人公の一連の作品が行き着くところまで行っちゃった(突き抜けた)ので、この松浦純菜の物語は一旦リセットしたところからスタートしたかったのかも。
浦賀さんの小説は、極限状況を描くことで、究極の愛を浮き彫りにしようとしているのではないか、とずっと思っていたのですが、今回の松浦純菜の静かな世界に関しては、あまりそういった感じは受けませんでした。物語としては成立しているのですが、主人公である松浦純菜に共感も覚えなければ、愛情も畏怖も尊敬も覚えない。こういった主人公を中心に据える、というのは、他の作家なら失敗作を疑うのですが、浦賀さんに限っては、次回作への壮大な伏線となっているのか、という予感もします。
そんな予感も加味して、5つ星です。