海のふた よしもとばなな

3月1日読了
★★★★★
原さんのライブに行って、そういえば買いっぱなしで放置していたこの本を思い出しました。私は基本的に通勤電車内で本を読んでいるのですが、文庫本でないと読みにくい為、なかなか読む腰が上がらず、本棚の片隅に追いやられていたのでした。読み始めたら、一気に最後までテンポよく読んでしまいました。
冒頭の原マスミの歌詞から涙腺がゆるみっぱなし。ばななさんのあとがきにあった通り、この小説中、ずっと原さんの歌が流れていました。

夏のおわりの海水浴 だれが さいごに海から上がったの
さいごのひとが 海のふた
しめずにそのまま 帰っちゃったから
ずっとあれから 海のふた あいたままだよ
サクラ、ダリア、ケイトウ
ヒマワリ、ヒナギクヒナゲシ
くり返し くり返し
なぜまた咲くのか
君のいない この世界に

 (「海のふた」より 作詞 原マスミ

よしもとばななさんのこの小説は、少女がおばあさんの死であいたままになっちゃった海のふたを、閉じるまでの話です(勿論、比喩です)。シンプルで、力強い物語でした。